技術トレンド

不動産テックとは。6つの領域と、データが鍵になる理由

イーランサー・ジャパン株式会社

不動産分野は、制度改正を機にデジタル化が進み始めた領域です。この記事では、どこに機会があり、何が障害になるのかを整理します。

不動産テックの範囲

不動産とITの接点は、取引の流れに沿って整理すると分かりやすくなります。

3つ目は制度の変更が前提でした。宅地建物取引業法の改正により、オンラインでの重要事項説明や電子契約が可能になったことで、取引の形が変わりつつあります。

デジタル化が進みにくかった理由

この業界には固有の事情があります。

取引の頻度が低い。個人にとって不動産の売買は一生に数回です。利用者が慣れる機会がなく、対面での説明が求められます。

金額が大きい。誤りが許されず、確認の工程が多くなります。

情報の非対称性。売り手と買い手、貸主と借主の間で情報の量に差があり、それが仲介の価値になってきました。情報が透明化すると、既存の収益構造に影響します。

物件情報の分散。業界の共通データベースがありますが、一般には公開されていません。

紙と押印の慣行。制度改正で緩和されましたが、実務の切り替えには時間がかかります。

データが鍵になる領域

この分野の中心にあるのがデータです。

取引価格。過去の成約事例を蓄積すれば、価格の推定精度が上がります。ただし、良質なデータを持つことが参入の条件になります。

物件の属性。面積、築年数、駅からの距離、設備。形式が揃っていないと分析できません。

周辺環境。人口動態、商業施設、災害の危険度。公的なデータと組み合わせます。

建物の状態。修繕履歴、設備の稼働。IoTで取得する動きもあります。

データの整備そのものが事業になるのが、この領域の特徴です。

管理業務という市場

取引より地味ですが、需要が安定しているのが管理の分野です。

賃貸管理。入居者からの問い合わせ、家賃の収納、更新手続き、退去の精算。件数が多く、定型的な業務が中心です。

修繕の管理。設備の不具合、業者の手配、履歴の記録。

ビル管理。空調、照明、入退室、エネルギー。IoTとの相性が良い領域です。

人手不足が深刻で、少ない人数で多くの物件を管理する必要があります。効率化の需要が構造的に存在します。

取引の華やかさはありませんが、継続的な収益が見込める分野です。

サービス設計の要点

この分野でシステムを作る場合の留意点を整理します。

法令の理解。宅地建物取引業法、借地借家法、区分所有法。手続きの順序が法で定められている部分があります。

個人情報。収入、勤務先、家族構成。審査のために機微な情報を扱います。

金銭の扱い。家賃、敷金、仲介手数料。会計処理と紐づきます。

既存業務との接続。業界の共通データベースや、既存の管理システムとの連携が必要になる場合があります。

関係者が多い。売主、買主、仲介、金融機関、司法書士、管理会社。それぞれの立場を理解した設計が求められます。

この領域の見通し

最後に、長期的な位置づけを整理します。

市場規模が大きいのがこの分野の特徴です。取引額も、管理対象となる建物の数も膨大です。

人口減少という逆風もあります。空き家の増加、地方の需要縮小。これ自体が新しい課題を生んでもいます。

制度改正が追い風になっています。電子契約とオンライン説明の解禁は、事業の形を変えました。

不動産の実務経験を持つ技術者は希少で、この組み合わせには価値があります。

生活に直結する分野であり、社会的な意義も分かりやすい領域だと考えます。

空き家という課題

人口減少がもたらす、この分野固有の論点です。

使われない住宅が増え続けています。所有者が不明、相続が未処理、解体費用が負担できないなど、理由は複合的です。

情報が把握されていないことが、対策を難しくしています。誰が所有し、どういう状態かのデータが揃っていません。

ITが担える部分としては、現況の把握、所有者情報の整理、利活用の希望者とのつなぎがあります。

自治体との連携が前提になる場合が多く、公共分野に近い性格を持ちます。

収益化は容易ではありませんが、社会的な要請が強い領域です。

建物の運用という市場

取引や賃貸とは別に、建物そのものを効率よく動かす分野があります。

空調と照明の制御。使用状況に応じて調整し、エネルギー消費を減らします。

入退室の管理。鍵の受け渡しをなくし、履歴を残します。

設備の監視。エレベーター、給排水、電気設備。故障の予兆を捉えれば、停止による影響を避けられます。

省エネの要請が追い風になっています。建物のエネルギー性能に関する基準が強化される流れがあります。

IoTとの相性が良く、継続的な収益も見込みやすい領域です。

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