海外で働くための準備。4つの選択肢と、必要なもの
海外で働きたいと考えたとき、方法は一つではありません。この記事では、選択肢ごとの条件と、実際に必要な準備を整理します。
海外で働く4つの形
海外で働くと言っても、形はいくつかあります。
- 駐在/日本企業に所属したまま、海外拠点で働く。待遇は日本基準が多い
- 現地採用/海外の企業に直接雇用される。待遇はその国の基準
- リモート/日本に住みながら、海外企業の業務を請ける
- 独立して現地で/自ら事業を興す、または業務委託で働く
1つ目は機会が減っています。外務省の統計では、在留邦人のうち長期滞在者は約71.9万人(2023年10月時点)で、前年より4.3%減少しました。
一方、3つ目は増えています。リモートワークの定着により、居住地を変えずに海外の仕事に関わる形が現実的になりました。
目的によって、選ぶべき形が変わります。生活を変えたいのか、仕事の内容を変えたいのか。
在留資格という前提
現地で働く場合、避けて通れないのが在留資格です。
就労できる資格が必要で、多くの国で雇用主による申請が前提になります。個人で自由に取得できるものではありません。
職種と学歴、経験の要件が定められている場合があります。IT技術者は優遇される国もありますが、条件は国ごとに異なります。
手続きに時間がかかります。数か月単位を見込む必要があり、内定から着任までの期間に影響します。
家族の帯同についても、別途条件があります。配偶者の就労が認められるかどうかも国によります。
この制度面の確認を後回しにすると、計画が崩れます。
求められる水準
海外で採用されるために必要なものを整理します。
言語。業務ができる水準が前提です。ただし、技術職では会話より読み書きの比重が高い場合もあります。
専門性。現地の人材で足りる仕事なら、わざわざ外国人を雇う理由がありません。その国で不足している専門性を持っているかが問われます。
実績の可視化。職務経歴を、その国の形式で説明できること。日本の履歴書の形式は通用しません。
自律性。指示を待つのではなく、自分で判断して進める働き方が前提になります。
2つ目が最も重要です。言語ができても、専門性がなければ選ばれません。
準備の順序
実務的な進め方を示します。
第一に、目的を明確にする。何のために海外で働くのか。経験、報酬、生活、家族。優先順位で選ぶべき形が変わります。
第二に、対象国を絞る。制度も市場も国ごとに違います。同時に複数を検討すると進みません。
第三に、専門性を確認する。その国で自分の経験が評価されるか。求人を見れば分かります。
第四に、実績を英語で整理する。職務経歴書の作成自体が、自分の市場価値を確認する作業になります。
第五に、接点を作る。現地で働く人と話す。求人に応募する。調べるだけでは進みません。
日本にいながらという選択
移住を伴わない形も、現実的な選択肢です。
海外企業の業務を、日本から請ける形です。業務委託が中心になります。
利点は、生活を変えずに始められることです。在留資格も不要で、合わなければ戻せます。
制約は時差です。アジア圏なら同じ時間帯で働けますが、欧米では非同期での協働が前提になります。
報酬は、その企業の基準に近づく場合があります。日本の水準より高くなることもあります。
まずこの形で試してから、移住を検討するという順序も合理的です。相互の相性を確認できます。
誰に向いているか
最後に、判断の材料を整理します。
向いている場合。専門性が明確にある。自分で判断して進められる。生活環境の変化を許容できる。
慎重に検討すべき場合。現状からの逃避が動機になっている。専門性が曖昧。家族の事情で移動が難しい。
「海外で働く」こと自体を目的にすると、失望する可能性があります。実際に駐在を経験した人が、その後に別の道を選ぶ例もあります。
問うべきは、どこで働くかではなく、何をしたいかです。その答えによっては、日本にいながら実現できる場合もあります。
家族と生活の設計
本人の条件だけでは決まらない要素があります。
配偶者の就労。帯同する場合、その国で働けるかどうかは資格によります。働けない場合、生活設計に影響します。
子どもの教育。現地校か、日本人学校か、インターナショナルスクールか。費用も進路も変わります。帰国後の進学も考慮が必要です。
医療。言語の壁、保険の仕組み、医療水準。持病がある場合はとくに確認が要ります。
親の介護。離れて暮らすことの影響。これを理由に帰国を選ぶ例も多くあります。
これらは仕事の条件より、継続を左右する場合があります。先に確認しておくべき項目です。
帰任と、その後
行くことだけでなく、戻ることも設計に含めるべきです。
駐在の場合、帰任後の役割が問題になります。海外での経験が活かされる配置になるとは限りません。
この不満から、帰任後に転職する例は珍しくありません。企業にとっては、投資した人材を失うことになります。
現地採用の場合、日本へ戻る際の経路を考えておく必要があります。海外での経験が、日本の労働市場でどう評価されるか。
評価されやすいのは、その国の市場や言語に関する知見です。単に「海外で働いた」という経歴だけでは、差別化になりません。
戻る前提で行くのか、戻らない前提なのか。この点を曖昧にしたまま出ると、判断が後手に回ります。
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