プロジェクトが失敗する理由。5つの原因と、早期の兆候
プロジェクトが失敗するとき、原因が技術的な難易度であることは稀です。この記事では、実際に何が起きているのかを整理します。
失敗の原因は技術ではない
プロジェクトが失敗するとき、原因は技術的な難易度であることは稀です。
実際に多いのは次の要因です。
- 要件が固まらない/着手後に追加が続き、範囲が膨らむ
- 決める人が不在/判断が保留され、作業が止まる
- 見積もりが甘い/楽観的な前提で計画され、初期から遅れる
- 関係者が多い/調整に時間を取られ、実作業が進まない
- 悪い情報が上がらない/問題の発覚が遅れ、対処の余地がなくなる
5つ目が最も深刻です。遅れは早く分かれば対処できますが、発覚が遅いほど選択肢が減ります。
そして、この5つはいずれも人と組織の問題です。優秀な技術者を集めても解決しません。
危険の兆候
早い段階で現れる兆候を挙げます。
キックオフで役割が曖昧。誰が何を決めるかが決まっていない状態で始まると、後で必ず問題になります。
要件定義が短い。期間が圧縮されている場合、決めきれないまま設計に進むことになります。
「詳細は後で」が多い。先送りされた判断は、実装の段階で戻ってきます。
進捗が常に順調。問題が一切報告されないプロジェクトは、報告されていないだけの可能性があります。
会議が増える。調整が必要な状況が生じている兆候です。
これらは着手から数週間で観察できます。早く気づけば、対処の余地があります。
範囲の管理
最も多い失敗原因への対処を整理します。
やらないことを書く。やることだけを書いた資料は、書かれていないものの扱いを曖昧にします。「今回は対象外」と明記するだけで、後の議論が減ります。
変更の手順を決める。変更を拒むのではなく、扱う手順を定めます。誰が判断し、影響をどう評価するか。
まとめて扱う。変更のたびに調整するより、一定期間ごとに判断するほうが混乱が少なくなります。
影響を示す。「この変更を入れると、期限が2週間延びます」と数字で伝えます。判断材料があれば、相手も選べます。
情報を上げやすくする
悪い情報が上がらない構造を、どう変えるかを整理します。
報告した人を責めない。問題を報告した担当者が叱責される組織では、次から隠されます。
早い報告を評価する。「まだ確定していないが、遅れそう」という段階の共有を歓迎します。
形式を軽くする。報告書の作成に手間がかかると、報告そのものが後回しになります。
定期的に聞く。報告を待つのではなく、こちらから確認する機会を設けます。
管理する側の態度が、情報の流れを決めます。仕組みだけでは変わりません。
遅れが出たときの対処
実際に遅れが生じた場合の選択肢を整理します。
範囲を減らす。最も現実的です。優先度の低い機能を後回しにします。
期限を延ばす。可能なら最も安全ですが、事業上の制約があることも多くなります。
人を増やす。短期では効果が出にくい選択です。教育と説明の時間が必要で、既存メンバーの作業も減ります。
品質を落とす。試験を減らす、確認を省く。後で必ず返ってきます。
上2つが基本です。3つ目を選ぶ場合、投入する人が即戦力であることが条件になります。
失敗を減らすために
最後に、構造的な対処を整理します。
小さく分ける。大きな計画より、短い区切りで進めるほうが、問題の発見が早くなります。
早く動くものを見る。文書での合意より、実際の画面を見たほうが認識のずれが見つかります。
決める人を1人にする。合議では速度が落ちます。相談は複数、決定は1人が原則です。
記録を残す。なぜそう決めたか。担当が替わっても引き継げます。
そして、振り返る。終わったプロジェクトの記録が、次の見積もりの精度を上げます。
見積もりの精度
失敗の起点になりやすいのが、この工程です。
楽観的な前提で計画されることが多くあります。全員が常に稼働し、問題が起きず、要件が変わらない前提です。
実際には、会議、確認、割り込み、不具合の対応があります。作業に使える時間は、想定より少なくなります。
過去の実績を使うのが最も確実な方法です。似た規模の案件で、実際にどれだけかかったか。
幅で示すことも有効です。単一の数字より、条件つきの範囲で伝えます。
そして、見積もりを記録し、実績と比較する。この振り返りがない組織では、精度が上がりません。
人の問題への対処
技術以外の要因も、進行に影響します。
特定の人に集中する。できる人に仕事が寄り、その人が停止すると全体が止まります。意識的に分散させる必要があります。
認識のずれ。同じ言葉を違う意味で使っている。用語の定義を揃えるだけで防げる場合があります。
離脱。体調、退職、異動。1人に依存する体制は、この時点で破綻します。
意欲の低下。長期のプロジェクトでは、途中で失われます。区切りと成果の可視化が有効です。
これらは管理する側が意識しなければ、対処されないまま進みます。
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