基礎知識

モバイルアプリ開発とは。Webとの違い・費用・進め方を解説

イーランサー・ジャパン株式会社

スマートフォンのアプリ開発は、Web開発とは前提が大きく異なります。この記事では、何が違い、どこに難しさがあるのかを整理します。アプリ化を検討している方の判断材料としても使えます。

Web開発との決定的な違い

同じソフトウェア開発でも、前提が異なります。

2つ目が最も影響の大きい違いです。Webなら修正して公開すれば全員に即座に反映されますが、アプリでは古い版を使い続ける利用者が必ず残ります。

そのため、サーバー側は古い版のアプリにも対応し続ける設計が必要になります。これが開発と保守の負担を押し上げます。

ストア審査という関門

アプリを公開するには、ストアの審査を通る必要があります。

審査には基準があり、内容によっては却下されます。機能が不十分、規約に反する表現、他社の決済手段の使用、利用者情報の扱いなど、理由はさまざまです。

実務上の問題は期間が読めないことです。通常は数日ですが、指摘を受けて修正すれば、その分だけ公開が遅れます。

リリース日を確約する契約は危険です。審査の結果は事業者側で制御できません。この点は、発注する側も理解しておく必要があります。

また、ストアの規約は変更されます。これまで問題なかった実装が、規約変更で対応を求められることもあります。

ネイティブと共通化の選択

開発方式には大きく2つの選択肢があります。

ネイティブ開発。iOSはSwift、AndroidはKotlinで、それぞれ別に作ります。端末の機能を最大限使え、動作も速いのが利点です。一方、2つ分の開発と保守が必要になります。

共通化した開発。Flutter、React Nativeなどを使い、1つのコードから両方を作ります。開発量を抑えられますが、端末固有の機能を使う場面では追加の作業が発生します。

判断の基準は、端末機能をどれだけ使うかです。カメラや位置情報を高度に扱うなら、ネイティブが有利になります。画面の表示とデータのやり取りが中心なら、共通化で足ります。

予算が限られる場合、共通化が現実的な選択になることが多くなります。

費用が高くなる理由

アプリ開発は、同等の機能のWebサイトより費用がかかります。理由を整理します。

2つの環境で作る。ネイティブなら単純に倍近くなります。

端末の種類が多い。画面サイズ、OSのバージョン。検証の対象が広くなります。

審査と公開の作業。申請、審査対応、公開後の管理。開発とは別の工数です。

古い版への対応。更新しない利用者がいる前提で、サーバー側を設計します。

公開後の運用。OSの更新に合わせた対応が、毎年発生します。作って終わりにできない点が、Webとの大きな違いです。

アプリにすべきか、Webで足りるか

この判断が、案件の最初の分かれ目になります。

アプリが必要な場合。通知を送りたい、カメラや位置情報を継続的に使う、オフラインで動かす、決済や生体認証を組み込む、毎日使ってもらう性質のサービス。

Webで足りる場合。情報を見せる、たまに使う、幅広い利用者に届けたい、素早く改善を繰り返したい。

判断の目安は、利用頻度と端末機能の必要性です。月に数回しか使わないサービスは、アプリを入れてもらえません。入れてもらう・使い続けてもらうという関門が、Webにはない負担です。

近年は、Webをアプリのように使える技術も普及しています。通知やオフライン対応が一部可能で、審査も不要です。まずこの選択肢を検討する価値があります。

開発の進め方

実際の進行を段階で示します。

⑤を軽視すると、開発が終わってから公開までに時間がかかります。ストアに掲載する説明文や画像も、事前に準備が必要です。

この領域で働くには

モバイル開発のキャリアについて整理します。

単価は月額65〜95万円の範囲が中心です。両方のOSを扱える人材は相対的に少なく、評価されやすくなります。

求められるのは、端末とOSへの理解です。画面サイズの違い、権限の扱い、バックグラウンドでの動作制限。Web開発にはない知識が必要になります。

案件数はWeb系より少なくなります。一方、扱える人も少ないため、需給としては均衡している領域です。

Web開発の経験から移ることは可能です。プログラミングの基礎は共通しており、変わるのは環境と作法です。

なお単価の数字は民間各社の集計で、公的統計ではありません。

ストアの運用と手数料

アプリを公開し続けるには、開発以外の作業と費用が発生します。

開発者としての登録が必要です。年額の費用がかかり、法人の場合は登録の手続きも要ります。

アプリ内で課金する場合、手数料が発生します。売上に対する一定割合で、事業計画に影響する規模になります。

掲載情報の管理も継続的な作業です。説明文、スクリーンショット、対応端末の情報。更新のたびに見直しが必要になります。

審査基準の変更にも対応が必要です。これまで問題なかった実装が、規約変更で修正を求められることがあります。

これらを見積もりに含めていない案件は、後から負担が生じます。

更新と互換性の設計

アプリ特有の難しさが、更新の扱いです。

利用者が更新しない限り、古い版が動き続けます。ある調査時点で、数年前の版を使い続ける利用者が一定数残るのが通例です。

したがって、サーバー側は複数の版に対応し続ける必要があります。APIを変更する際は、古い版が壊れないよう配慮します。

対策として、強制更新の仕組みを最初から入れておく方法があります。一定より古い版では、更新するまで使えないようにする設計です。

これは初回リリース時に組み込むべき機能です。後から追加しても、古い版には届きません。

この設計の有無が、数年後の保守負担を大きく左右します。

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