キャリア

人生は暇つぶしか。死生観から考える、働き方とキャリアの選び方

イーランサー・ジャパン株式会社

「人生は暇つぶしだ」という言い方があります。投げやりにも聞こえますが、有限であることを前提にした態度でもあります。この記事では、寿命や労働時間の数字を手がかりに、死生観をキャリアの判断にどう接続できるのかを考えます。数字は事実に基づき、解釈は一つの見方として書きます。

手元にある数字

厚生労働省の令和6年簡易生命表によれば、日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.13年です。前年比では男性が横ばい、女性が0.01年下回りました。平均寿命の男女差は6.03年とされます。

同じ資料では65歳時点の平均余命が男性19.47年、女性24.38年と示されています。定年後にも20年前後の時間があるという事実は、キャリアの設計に直接関わります。

もうひとつ重要なのが健康寿命です。日常生活に制限のない期間は男性72.57年、女性75.45年(2022年)とされ、平均寿命との差は男性で約8.5年、女性で約11.6年です。「生きている時間」と「自由に動ける時間」は同じではありません。

人生における仕事の比率

仮に22歳から65歳まで働き、年間2,000時間を労働に充てるとすると、生涯の労働時間は約8万6,000時間になります。80年を時間に直すと約70万時間ですから、人生に占める労働の比率はおよそ1割強という計算になります。

この数字は小さく見えるかもしれません。ただし、起きている時間のうち最も意識が集中している時間帯を、その1割が占めていることも事実です。残りには睡眠、移動、食事、家事が含まれます。

つまり、仕事は人生の大部分ではないが、覚醒している時間の質を決める比重は大きい。この二重性が、キャリアの議論を難しくしています。

「暇つぶし」という捉え方の効用と限界

人生を暇つぶしと捉える見方には、実務的な効用があります。

失敗の意味が変わります。人生に達成すべき正解があるという前提を外せば、転職も独立も撤退も「試したうちの一つ」になります。挑戦の心理的な費用が下がります。

他人の基準から離れやすくなります。年収、肩書き、社歴。これらは比較のための指標ですが、暇つぶしという前提では意味を失います。

一方で限界もあります。この捉え方は、責任を負う場面では機能しません。家族、従業員、取引先。他者の生活が自分の判断に依存しているとき、「どうせ暇つぶし」では説明がつきません。自分の内側では有効でも、外に向けては使えない考え方だと言えます。

逆算で考えることの落とし穴

終わりから逆算してキャリアを設計する方法は、よく勧められます。ただし2つの前提に注意が必要です。

第一に、平均寿命は平均でしかありません。自分がその年齢まで生きる保証はなく、逆に大きく超える可能性もあります。平均を自分の予定表として扱うと、判断を誤ります。

第二に、逆算は「やりたいことが決まっている」ことを前提にしています。多くの人にとって、それは後から見つかるものです。目標が定まらない段階での逆算は、他人の目標を借りてくる結果になりがちです。

現実的なのは、逆算ではなく可逆性で判断することかもしれません。取り返しがつく選択は早く試し、取り返しがつかない選択(健康、信用、人間関係)は慎重に扱う。有限性への向き合い方としては、こちらのほうが扱いやすくなります。

有限であることを前提にした選び方

死生観をキャリアに接続すると、判断の軸は3つに絞られます。

時間の使い方を、自分で決められるか。収入や肩書きより、この裁量の有無が満足度を左右するという指摘は多くあります。裁量は、収入を上げるより難しく、そして後から取り返しにくい要素です。

健康な時間に何を置くか。平均寿命と健康寿命の差が8年から11年あるという事実は、「引退してからやる」という先送りの前提を弱めます。動ける時期にしかできないことは、動ける時期に置くしかありません。

誰と過ごすか。職場は、人生で最も長い時間を共有する集団のひとつです。事業内容や条件より、この点が効いてくる期間は長くなります。

答えを出す必要はありません。ただ、有限であるという事実だけは、誰にとっても共通の前提です。そこから何を選ぶかが、その人の生き方になります。

仕事に意味を求めすぎない選択

仕事に意味を見いだすべきだ、という考え方があります。一方で、仕事は生活を支える手段と割り切り、意味は別の場所に置くという選び方もあります。

どちらが正しいという話ではありません。ただ、後者を選ぶ人にとっては、仕事の条件は「意味」ではなく「時間とお金の効率」で評価するほうが一貫します。

前者を選ぶ場合は、収入や安定を多少譲ってでも関われる対象を選ぶことになります。問題は、この2つを同時に最大化しようとして身動きが取れなくなることです。どちらに寄せるかを決めるだけで、判断は軽くなります。

取り返しがつくかどうかで分ける

有限であることを前提にすると、判断の基準は「可逆かどうか」に整理できます。

可逆なものは早く試し、不可逆なものは慎重に扱う。この振り分けだけで、多くの迷いは減ります。

そして3つ目のうち、健康と家族との時間は、後から買い戻せません。有限性を意識することの実務的な意味は、ここに集約されると思います。

参考文献
  1. 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
  2. 総務省「令和4年就業構造基本調査」

本文中の数値は各調査時点のものです。調査主体により定義や推計方法が異なるため、出典を確認のうえご参照ください。

CONSULTATION

案件をお探しの方へ

イーランサーでは、専任担当がご経歴と希望条件を整理したうえで案件をご提案し、条件面の調整もお手伝いしています。すぐに稼働できる状態でなくても、情報収集としてご相談いただけます。

ご登録いただいた情報が企業に公開されることはありません。氏名・連絡先を伏せたスキルシートを使用します。登録から案件のご紹介、契約手続きまで費用は一切かかりません。

案件を見る
案件をお探しの方 人材をお探しの方