海外IT人材

在留5年が一律、永住は最短1年、審査は5日目途。高度専門職の優遇は桁が違う

イーランサー・ジャパン株式会社

外国人エンジニアの採用では技人国が入口になりますが、要件を満たすなら高度専門職のほうが採用側にも本人にも得です。在留期間が5年で一律に出て、審査が速く、配偶者の就労や親の帯同まで認められる。この記事では、ポイント制の中身と、2023年に始まったJ-Skip・J-Findの要件、そして公表されている利用実績を整理します。

ポイント制の仕組み

高度人材ポイント制は平成24年5月に導入された制度で、70点以上で認定されます。3つの類型があります。

評価項目と配点は法務省令で、特別加算は法務省告示(令和8年3月31日改正)で定められています。学歴、職歴、年収、年齢、研究実績、資格などの合計で判定します。

優遇措置の中身

1号に認められる優遇は7つです。

  1. 複合的な在留活動の許容。通常は1つの在留資格で1つの活動しかできないが、複数の活動を並行して行える
  2. 在留期間「5年」の一律付与。技人国が5年・3年・1年・3月から決まるのに対し、こちらは一律5年
  3. 永住許可要件の緩和。原則10年のところ3年。80点以上なら1年
  4. 配偶者の就労。学歴・職歴要件を満たさなくても「教育」「技術・人文知識・国際業務」等に該当する活動が可能
  5. 親の帯同。7歳未満の子の養育等が条件。世帯年収800万円以上、同居、いずれか一方の親に限る
  6. 家事使用人の帯同。月額20万円以上の報酬が前提
  7. 優先処理。入国事前審査は申請受理から10日以内、在留審査は5日以内を目途

2号になると、1号の活動に加えて就労系在留資格のほぼ全ての活動が可能になり、在留期間が「無期限」になります。3〜6の優遇措置も引き継がれます。

採用側の視点で効くのは2番目と7番目です。技人国の審査実績が41〜51日なのに対し、在留審査5日目途。入社日の確度がまったく違います。さらに在留期間が5年固定なら、更新の手間と手数料も大きく減ります。

本人の視点では3番目が決定的です。永住まで原則10年のところが3年、80点を超えていれば1年。日本に腰を据えるかどうかの判断が、5年も前倒しになるということです。

J-Skip:ポイント計算を省く道

2023年4月に始まった特別高度人材制度(J-Skip)は、ポイント計算をせずに、学歴・職歴と年収だけで判定する制度です。在留資格は「高度専門職」。

優遇措置は高度専門職と同様ですが、2点が加わります。

年収2,000万円という水準は、国内のエンジニア採用ではかなり限られます。実務的には、海外の上級エンジニアや経営層を迎える場合の選択肢と位置づけるのが現実的です。

根拠は特別高度人材の基準を定める省令(令和5年法務省令第25号)、配偶者・家事使用人は特定活動告示第2号の4および第33号の2。

J-Find:まず入国してから探す

同じく2023年4月に始まった未来創造人材制度(J-Find)は、就職先が決まる前に入国できる制度です。在留資格は「特定活動(未来創造人材)」。

要件は3つすべてを満たすこと。

  1. 世界大学ランキング(QS/THE/ARWU)3つのうち2つ以上で100位以内の大学を卒業、または当該大学の大学院課程を修了し学位・専門職学位を取得
  2. 学位授与から5年以内
  3. 申請時点で滞在当初の生計維持費として20万円以上(または同等額の外貨)の資力

在留期間は最長2年。活動内容は就職活動または起業準備活動です。

採用側から見ると、この資格を持つ候補者はすでに日本にいて、就労資格への変更を前提にしている状態です。海外から呼ぶ場合に比べて、面談も入社も格段に速く進みます。

入管庁ページに掲載されている対象大学のリストは、2026年1月時点のランキングに基づく旨が記載されています。該当するかどうかは最新のリストでご確認ください。

実績:認定は65,023件、在留者は32,953人

高度人材ポイント制の認定件数(累計・各年末)です。

2年で約1.4倍。最も多いのは高度専門・技術活動で、2025年末時点で51,151件と全体の約79%を占めます。エンジニアが中心の制度だということです。

国籍・地域別の在留者数(高度専門職1号イ・ロ・ハ+2号の合計)も公表されています。

中国が3分の2を占める構造が続いています。2位のインドが1,577人、3位の台湾が1,447人で、1位との差は桁が違う。

この偏りをどう読むかは立場によりますが、少なくとも中国以外の国からの高度人材はまだ開拓余地が大きいとは言えます。韓国は1,234人。日本で就労する韓国人が75,003人(2024年10月)いることを考えると、この制度の利用はまだ限定的です。

令和8年6月末時点の在留者数(在留資格別)は、高度専門職1号イ3,026人、1号ロ24,257人、1号ハ4,953人、2号2,238人。合計34,474人です。

J-Skip・J-Findを切り出した利用実績(認定件数・在留者数)は、入管庁の公表資料では確認できませんでした。J-Skip該当者は在留資格「高度専門職」として上記の数値に含まれます。

手数料の改定で、計算が変わった

2026年10月1日から、在留資格の変更の許可・在留期間の更新の許可・永住許可の手数料が改定されました。これが高度専門職の価値を押し上げています。

在留期間更新許可(窓口申請)の改定後手数料です。改定前は一律6,000円でした。

在留期間が長いほど1回あたりは高いのですが、年あたりで見ると逆転します。

高度専門職は在留期間5年が一律で付与されます。技人国で1年しか出ない状況が続くと、5年間で9万円の差が生まれる。加えて、更新のたびに発生する書類準備と41日前後の審査期間も不要になります。

2号になれば在留期間は無期限です。更新そのものがなくなります。

これは1人あたりの話なので、複数名を継続的に採用する企業では手続きの総量が事業コストとして効いてきます。ポイント計算を内定前に済ませておく理由は、本人の便益だけでなく、ここにもあります。

収入印紙での納付で、一定の要件を満たす場合は10,000円に減額されることがあるとされています。令和8年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額が適用されます。

実務でどう使うか

制度の使い分けを、採用のパターン別に整理します。

共通して言えるのは、ポイント計算は内定前にやっておくべきということです。70点に数点足りない場合、年収の設定や職務内容の組み方で届くことがあります。内定を出した後では調整できません。

もう1つ、IT人材には学歴要件の代替ルートがあります。入管庁と経済産業省が公表している資料では、法務省告示で定めるIT関連試験の合格が技人国の学歴要件の代替として認められています。IPAと相互認証のある国・地域として、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国が挙げられています。

出典

本記事は2026年10月27日時点で公開されている情報に基づいています。ポイントの計算と申請の可否は個別の事情によります。実際の申請については行政書士等の専門家にご確認ください。

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