海外テック企業の採用動向とは。二極化する求人と、求められる要件
海外のテック企業では、採用の方向が変化しています。日本にも数年遅れて波及する可能性があります。この記事では、何が起きているのかを整理します。
採用動向の変化
海外のテック企業の採用には、いくつかの変化が見られます。
大量採用の時期は終わったとされます。コロナ禍で急拡大した後、多くの企業が人員を調整しました。
初級職の縮小が指摘されています。生成AIによって定型的な作業が自動化され、経験の浅い人材の役割が減っているという見方です。
一方、AI関連の職種では需要が拡大しています。同じ企業内でも、領域によって採用の方向が分かれます。
この二極化が、現在の特徴です。全体として採用が減っているのではなく、配分が変わっています。
何が求められているか
求められる要件も変化しています。
- AIを使いこなせるか/道具として日常的に活用し、出力を検証できる
- 領域の専門性/汎用的な開発力より、特定分野の深い理解
- 設計する力/実装はAIが担う部分が増え、何を作るかを決める役割が残る
- 複数領域の理解/開発とインフラ、技術と業務。境界をまたげる人材
1つ目は、既に前提条件になりつつあります。使えるかどうかではなく、どう使うかが問われます。
2つ目が最も差になります。金融、医療、製造。その領域を知っている技術者は、代替が難しくなります。
経験の浅い層への影響
この変化は、これから入る人に厳しく働く面があります。
従来、経験の浅い技術者は定型的な作業を通じて学びました。その作業が自動化されると、学習の機会自体が減ります。
企業側も、育成の余裕が減っています。即戦力を求める傾向が強まっているという指摘があります。
ただし、悲観的な見方だけではありません。AIを前提に学べる世代は、上の世代より速く水準に達する可能性があります。
重要なのは、実装だけを目標にしないことです。何を作るかを考える力、出力を検証する力。この2つを早い段階から意識するかどうかが、数年後の差になります。
日本市場との違い
海外の動向をそのまま当てはめるべきではありません。
雇用の流動性が違います。米国では人員の調整が容易ですが、日本では制約があります。同じ変化でも、現れ方が異なります。
人材不足の構造も違います。日本では2030年に最大約79万人の不足が試算されており、労働人口の減少という要因があります。技術による代替が進んでも、総量の不足は解消しません。
AI活用の進み方も遅れています。企業の生成AI利用は55.2%、方針を定めている企業は49.7%という水準です。
したがって、日本では変化がより緩やかに進むと考えられます。ただし、方向は同じです。
働く側の対応
この状況で、個人が取れる行動を整理します。
領域を持つ。特定の業界や技術で、深い理解を持つこと。汎用的なスキルだけでは差がつきません。
AIを日常的に使う。使わない選択は、既に不利になっています。
実績を記録する。何をどう解決したかを、社外に説明できる形で残します。
変化を追う。この分野は数か月で状況が変わります。年に一度の情報更新では追いつきません。
ただし、焦る必要はありません。技術の入れ替わりは速くても、業務を理解し、判断できる人材の価値は下がりません。
採用する側の対応
企業の視点でも整理します。
即戦力だけを求める採用は、いずれ行き詰まります。全社が同じ人材を奪い合う構造では、単価が上がるだけです。
育成の設計が必要です。定型作業を通じた学習が減るなら、別の形で経験を積ませる仕組みを用意します。
外部人材との組み合わせも選択肢です。すべてを正社員で揃える前提を外すと、確保の幅が広がります。
そして、選ばれる側でもあるという認識です。技術者は複数の選択肢を持ちます。技術環境、裁量、学習の機会。報酬以外の条件が判断を左右します。
選考の進め方の違い
海外企業の採用選考は、日本と手順が異なります。
技術面接の比重が高いのが特徴です。実際にコードを書く、設計を議論する、過去の判断を説明する。
複数回の面接が一般的で、それぞれ担当と観点が分かれています。
職務が明確に定義されています。何を担当し、何に責任を持つかが事前に示されます。入社後に配属が決まる形ではありません。
実績の説明が求められます。何をしたかではなく、どういう判断をし、何が変わったか。数字で説明できるかが問われます。
この準備は、日本国内での転職にも有効です。自分の実績を構造化する作業自体に価値があります。
リモート採用という選択肢
居住地を変えずに海外企業と関わる形も広がっています。
業務委託としての契約が中心です。雇用ではないため、在留資格の問題が生じません。
報酬は、その企業の基準に近づく場合があります。日本の水準を上回ることもあります。
制約は時差です。アジア圏なら同時に働けますが、欧米では非同期の協働になります。文書で正確に伝える力が、より重要になります。
税務の扱いも確認が必要です。国外からの収入の申告について、専門家に相談すべき領域です。
まずこの形で試してから、移住を検討するという順序も合理的です。
本文中の数値は各調査時点のものです。調査主体により定義や推計方法が異なるため、出典を確認のうえご参照ください。
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