エンジニア採用

審査は実績で41〜51日、更新手数料は最大75,000円に。技人国の実務が2026年に変わった

イーランサー・ジャパン株式会社

外国人エンジニアを採用するとき、在留資格の選択肢は実質的に2つしかありません。「技術・人文知識・国際業務」(技人国)か、「高度専門職」か。特定技能にIT分野は存在せず、2027年4月に始まる育成就労にも含まれていません。この記事では、実務の入口である技人国について、要件・審査の実績値・2026年に変わった点を、出入国在留管理庁の公表資料で整理します。

技人国で何ができるか

該当する活動は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う」理学・工学その他の自然科学の分野、もしくは法律学・経済学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務です。

契約の形に委託が含まれる点は、実務上よく誤解されます。業務委託でも在留資格の対象になり得ますが、継続性が要件です。単発の受託を積み重ねる形は想定されていません。

上陸許可基準

ガイドラインが示す基準は、業務の種類によって分かれます。

(a) 自然科学・人文科学の技術または知識を要する業務(いずれか)

  1. 従事しようとする業務に必要な技術・知識に関連する科目を専攻して卒業していること
  2. 10年以上の実務経験(大学等で関連科目を専攻した期間を含む)

(b) 外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務(両方)

  1. 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝、海外取引業務、服飾・室内装飾に係るデザイン、商品開発等の業務に従事すること
  2. 3年以上の実務経験。ただし大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導に従事する場合は実務経験不要

(c) 報酬要件:日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上。通勤手当・住宅手当等の実費弁償的給付は含みません。

「関連性」の判断には、学校の種類で差があります。

もう1つ、見落とされやすいのが素行要件です。資格外活動許可の条件に違反して週28時間を超えるアルバイトを恒常的に行っている場合は、素行善良と認められません。留学生からの切り替えでは、ここが問題になることがあります。

審査期間は、目安と実績が違う

ここは採用計画に直接効くので、両方を押さえておきます。

標準処理期間(制度上の目安)

実績値(入管庁「在留審査処理期間(日数)」令和8年8月許可分)

標準処理期間の「2週間〜1か月」に対して、実績は41〜51日。1か月半前後を見ておくのが現実的です。入社日を逆算するときは、実績値のほうで組むべきです。

なお、高度専門職の場合は優先処理の対象で、入国事前審査は申請受理から10日以内、在留審査は5日以内が目途とされています。要件を満たすなら、こちらのほうが圧倒的に速い。

2026年4月15日からの変更:言語能力要件

ガイドラインに別紙4「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」が追加されました(令和8年4月15日公表、同年10月14日に記載内容を更新)。

主に言語能力を用いる対人業務に従事する場合は、CEFR B2相当の言語能力を有していることが前提とされます。

日本語の場合(いずれか)

日本語以外の場合は、母国語または公用語であること、CEFR B2以上と証明される試験結果(CEFR表示があるものに限る)、または業務上必要な能力を有する合理的理由の説明、のいずれか。

手続き面では、所属機関がカテゴリー3・4の場合は申請時に言語能力の立証資料の提出が必要になりました(カテゴリー1・2も審査で求められることがあります)。あわせて、カテゴリー3・4の申請では「代表者等による申告書」の提出も追加されています。

この要件は「主に言語能力を用いる対人業務」が対象です。純粋な開発業務であれば直接の対象ではありませんが、職務内容に通訳・翻訳やブリッジ業務が含まれる場合は影響します。

2026年10月1日からの変更:手数料

こちらは採用コストに直接響きます。対象手続は在留資格の変更の許可、在留期間の更新の許可、永住許可です。

在留期間更新許可(窓口申請)の改定後手数料

改定前は一律6,000円でした。1年の在留期間で更新するなら33,000円、3年なら64,000円。収入印紙での納付で、一定の要件を満たす場合は10,000円に減額されることがあるとされています。

令和8年9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月1日以降になっても改定前の額が適用されます。

実務的な含意は明確です。在留期間が長く出るほど、1年あたりの手数料は安くなる。5年なら75,000円÷5年で年15,000円、1年を5回更新すれば165,000円です。長い在留期間が出る条件を整えること自体が、コスト削減になります。

その意味でも、在留期間5年が一律で付与される高度専門職の要件を満たせるかどうかは、検討する価値があります。

カテゴリーで、必要書類の量が変わる

所属機関の区分によって、提出書類の量が大きく変わります。

カテゴリー2は「源泉徴収税額1,000万円以上」という基準なので、目安として従業員数十名規模から該当してきます。オンライン申請の利用申出が承認されていればカテゴリー2になるという道もあるため、継続的に採用する予定があるなら、先に申出を済ませておく価値があります。

前節の言語能力要件も、立証資料の提出が必須になるのはカテゴリー3・4です。カテゴリーが1つ上がるだけで、申請のたびの手間が目に見えて減ります。

IT人材向けの、学歴要件の代替

技人国の要件は学歴または10年の実務経験ですが、IT人材には別ルートがあります。

入管庁と経済産業省商務情報政策局が公表している「外国人IT人材の在留資格と高度人材ポイント制について」は、技人国の学歴要件の代替として法務省告示で定めるIT関連試験の合格を認める旨を示しています。

IPAと相互認証のある国・地域として挙げられているのは、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾、マレーシア、タイ、モンゴル、バングラデシュ、シンガポール、韓国です。

学位が業務と結びつきにくい経歴の候補者でも、該当する試験に合格していれば道がある。実務経験10年を待たずに済むという点で、知っているかどうかで採用可否が変わる情報です。

IT分野に、特定技能という選択肢はない

他分野の採用と並べて考えるときに、最初に押さえるべき前提です。

令和8年1月23日の閣議決定による分野別運用方針で、特定産業分野は19分野と定められました。内訳は介護、ビルクリーニング、建設、造船・舶用工業、自動車整備、宿泊、自動車運送業、農業、漁業、外食業、林業、木材産業、工業製品製造業、航空、鉄道、飲食料品製造業、リネンサプライ、物流倉庫、資源循環。

情報通信・ITを対象とする分野は、19分野のいずれにも存在しません。

2027年4月1日に始まる育成就労も同様です。育成就労産業分野は17分野(特定技能19分野から自動車運送業・航空を除いたもの)で、やはりIT系はありません。

つまり、ITエンジニアの受け入れは技人国か高度専門職の2本に限られます。他業種のように「まず技能実習で来てもらって」という段階的な受け入れができません。

この制約は、採用のハードルであると同時に、人材の質の前提でもあります。技人国は学歴または10年の実務経験、高度専門職は70点以上。IT分野で日本に来る外国人は、制度上その条件を通過した人だけです。

育成就労の施行にあたっては経過措置も定められています。施行日前に入国し施行日時点で技能実習を行っている者は引き続き技能実習を継続でき、施行日後も技能実習を続ける者には技能実習のルールが適用され、途中で育成就労に移ることはできません。IT分野には直接関係しませんが、グループ内に製造部門などがある場合は確認が必要です。

出典

本記事は2026年10月27日時点で公開されている情報に基づいています。制度の運用は変更されることがあります。個別の申請については、出入国在留管理庁の最新の公表資料および行政書士等の専門家にご確認ください。

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