エンジニアの年収相場とは。年代・職種・雇用形態で比較
エンジニアの年収は、職種名や言語では決まりません。この記事では、何が実際に年収を左右するのかを、統計をもとに整理します。
年収は何で決まるか
まず前提を整理します。職種名や言語で年収が決まるわけではありません。
実際に効くのは次の要素です。担当する工程、業界のドメイン知識、責任の範囲、企業の規模と業態、そして雇用形態。
同じ「システムエンジニア」でも、実装だけを担当する場合と、要件定義から関わる場合では大きく異なります。
この記事で示す数字は、あくまで目安です。統計は集計方法によって差が出るため、複数の出典を並べて幅として捉えるべきです。
統計が示す水準
公的統計と民間調査から、いくつかの数字を挙げます。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査が、公的な基準になります。職種ごとの給与額が集計されており、システムコンサルタント・設計者、ソフトウェア作成者といった区分で確認できます。
民間の転職サービスの集計では、ITエンジニア全体の平均年収を469万円とする調査があります(doda「平均年収ランキング2025年」)。全職種平均の429万円を上回る水準です。
経済産業省の調査では、新人・初心者レベルの平均年収を約437万円とする数字も示されています。
これらは母集団も定義も異なります。転職サービスの登録者を対象とした調査は、転職を検討している層に偏る可能性があります。
年代による変化
年収は年齢とともに上がりますが、上がり方に特徴があります。
20代。経験を積む時期で、水準は全職種平均と大きく変わらない場合が多くなります。
30代。専門性が固まり、差が開き始めます。この時期にどの領域を選んだかが、その後を左右します。
40代以降。上がり方が緩やかになります。ここから伸ばすには、担当範囲を広げるか、専門性を極めるかの選択になります。
厚生労働省の調査では、IT・デジタル人材について、年齢や勤続年数より職務遂行能力を重視する企業が多いとされます。年功だけでは上がりにくい構造になりつつあります。
職種による差
領域によって、水準に差が生じます。おおよその傾向を示します。
- 高い傾向/ITコンサルタント、プロジェクトマネージャー、データサイエンティスト、セキュリティ
- 中位/システムエンジニア、バックエンド、インフラ、フロントエンド
- 幅が広い/SES契約の技術者。案件と経験で大きく変わる
上位の職種に共通するのは、判断と責任を伴うことです。実装するだけでなく、何を作るか決める、リスクを引き受ける。
もうひとつは、扱える人が少ないことです。セキュリティやデータ領域は、需要に対して供給が不足しています。
雇用形態による違い
同じ仕事でも、契約の形で手取りが変わります。
正社員。安定していますが、報酬の上限も一定の範囲に収まりやすくなります。社会保険や退職金といった見えない待遇も含まれます。
フリーランス。月額単価は高くなりますが、社会保険料の全額負担、営業活動、稼働がない期間のリスクを自分で負います。
単純に月額を12倍しても、正社員の年収とは比較できません。経費、税、保険、稼働率を考慮する必要があります。
フリーランス協会の調査では、8割近くのフリーランスエンジニアが年収400万円以上という結果も報じられています。他の職種と比べれば高い水準です。
年収を上げる方法
実際に効く手段を、費用対効果の順に整理します。
第一に、工程を上流へ広げる。実装から設計、要件定義へ。転職せずに社内で実現できる場合もあります。
第二に、業界のドメイン知識を持つ。金融、製造、医療。技術と業務の両方を知る人材は希少です。
第三に、不足している領域へ移る。セキュリティ、データ、クラウド。需給の差が単価に反映されます。
第四に、市場を知る。自分の経験がいくらで募集されているかを知らなければ、交渉もできません。
第五に、転職する。社内での昇給には限界があります。ただし、目的が年収だけの転職は、続かない場合があります。
数字を見るときの注意
最後に、この種の情報を扱う際の注意点を挙げます。
調査主体の偏り。転職サービスの調査は、その利用者を対象としています。全体の実態とは異なる可能性があります。
時点。賃金は変動します。数年前の数字が現在に当てはまるとは限りません。
平均と中央値。一部の高額な例が平均を押し上げる場合があります。
地域差。首都圏と地方では、水準も生活費も異なります。
そして、年収だけでキャリアを判断しないことです。学べる環境、裁量、働き方。数年後の市場価値に影響するのは、これらの要素でもあります。
地域による差
年収を見るとき、地域の要素を無視できません。
首都圏の水準が最も高く、地方との差があります。案件の集中と、企業の本社機能が要因です。
ただし、生活費も異なります。住居費の差は大きく、手取りの実質的な価値では逆転する場合もあります。
リモートワークの普及で、この構造は変化しつつあります。地方に住みながら首都圏の案件に関わる形が成立するようになりました。
一方、居住地によって単価を調整する企業もあります。完全に同一とは限りません。
地方在住で首都圏水準の報酬を得たい場合、リモート前提の案件を探すのが現実的な方法になります。
交渉のしかた
年収は、提示されたものを受け入れるだけではありません。
根拠を用意する。市場の相場、自分の実績、これから担う役割。感情ではなく事実で話すことが前提です。
時期を選ぶ。転職時が最も動きやすく、在職中は評価の時期に合わせます。
金額以外も交渉できる。働き方、担当領域、学習の時間。年収が動かない場合でも、条件は変えられることがあります。
他社の提示があると強い。ただし、脅しとして使うと関係が悪化します。事実として伝える程度に留めます。
交渉しないことが最も多い失敗です。提示された条件が上限とは限りません。
本文中の数値は各調査時点のものです。調査主体により定義や推計方法が異なるため、出典を確認のうえご参照ください。
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