IT人材不足はどこまで深刻か。数字で見る現状と、外部人材という選択肢
「エンジニアが採用できない」という声は以前からありますが、体感ではなく数字で見ると状況の性質が分かります。不足は今後さらに拡大する見通しであり、採用だけで埋めることは現実的ではありません。この記事では、公的な推計をもとに現状を整理し、社内採用・育成・外部人材活用をどう組み合わせるかを考えます。
数字で見るIT人材不足
経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査」では、2030年時点でIT人材が不足するという推計が示されています。IT需要の伸びを複数のシナリオで想定しており、市場の成長が小さい場合でも約16万人、大きい場合は約79万人の不足とされています。
この調査で重要なのは、どのシナリオでも不足が解消されないという点です。楽観的な見通しを取っても、需要が供給を上回る構造は変わりません。
さらに深刻なのが、AI・データ活用といった先端領域です。同調査では、先端IT人材は2030年に約12.4万人が不足すると予測されています。企業がいま最も必要としている領域ほど、確保が難しい構図です。
企業側の実感を示すデータもあります。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2024」では、DXを推進する人材の量が「大幅に不足している」と回答した企業が62.1%にのぼりました。2021年度の30.6%から倍増しています。
なぜ採用だけでは埋まらないのか
不足が続く理由は、単に「募集しても来ない」だけではありません。構造的な要因が重なっています。
- 需要が伸び続けている/あらゆる産業でデジタル化が進み、ITを使う側の企業もエンジニアを求めるようになった
- 供給が追いつかない/少子高齢化により、労働人口そのものが減少している
- 求める人材が偏っている/各社が「即戦力の経験者」を求めるため、同じ層を奪い合う
- 育成に時間と体制が要る/未経験者を採用しても、教える側の余力がなければ育たない
とくに4つ目が現場の実情です。求人倍率は高いのに未経験者を採用しづらい、という矛盾の背景には「教育に割ける時間が現場にない」という事情があります。人が足りないから採用したいのに、人が足りないから育てられない、という循環です。
3つの手段と、それぞれの限界
人材を確保する手段は、大きく3つです。それぞれに向き不向きがあります。
| 手段 | 向いている場面 | 限界 |
|---|---|---|
| 正社員採用 | 長期的に組織の中核を担う人材 | 採用に数か月〜1年、競合が多く条件面での競争になる |
| 社内育成 | 自社の業務に精通した人材を作る | 成果が出るまで年単位、教える側の体制が必要 |
| 外部人材の活用 | 特定領域の専門性を、必要な期間だけ確保する | ノウハウが社内に残りにくい、依存すると継続性に不安 |
← 横にスクロールしてご覧いただけます →
重要なのは、どれか1つを選ぶ話ではないということです。中核となる領域は採用と育成で固め、専門性が高く一時的に必要な部分は外部で補う。この組み合わせが現実的な解になります。
外部人材が向く場面・向かない場面
外部人材の活用が特に効くのは、次のような場面です。
- 期間が決まっているプロジェクト/基幹システムの移行、新サービスの立ち上げなど
- 社内にない専門性が必要/SAP、Salesforce、AI、セキュリティなど、常時は必要としない領域
- 採用が間に合わない/プロジェクトの開始時期が決まっており、採用を待てない
- 立ち上げ期の判断が必要/構想策定や技術選定など、経験者の判断が成否を分ける工程
逆に、向かない場面もあります。
- 自社の業務知識を長期にわたって蓄積してほしい役割
- 組織文化の形成や、メンバーの育成を担ってほしい立場
- 要件が固まっておらず、何を依頼するか決まっていない状態
最後の点は見落とされがちです。「人手が足りないから誰か入れたい」という状態で外部人材を迎えても、指示する側の負担が増えるだけになります。何を任せるかが決まっていることが前提です。
外部人材を活かすための準備
実際に活用する際、成果を左右するのは受け入れ側の準備です。
- 担当範囲を明確にする/どこまでが依頼範囲で、どこからが社内の判断かを線引きする
- 判断できる人を社内に置く/技術的な提案に対して、採否を決められる担当者が必要
- 情報へのアクセスを整える/必要な資料や環境が使えないまま待機、という時間をなくす
- 成果物の形を決める/ドキュメント、コード、設計書など、何を残してもらうか
- 契約形態を実態に合わせる/指揮命令の有無によって適切な契約が変わる
最後の項目は法的な論点を含みます。契約上は業務委託でも、実態として日々の指揮命令が発生していれば労働者派遣に該当する可能性があります。受け入れ方を決める段階で確認しておくべき部分です。
また、ノウハウを社内に残す仕組みも設計しておく価値があります。ドキュメントの作成を成果物に含める、社内メンバーとペアで進める、といった工夫で、外部人材が抜けた後の継続性が変わります。
IT人材の確保にお困りの企業様へ
イーランサーは、SAP/S4HANA、Salesforce、AWS、Azure、GCP、データ基盤・DWH、BI、AI開発、Java、Python、インフラ・運用保守まで、幅広い領域の即戦力人材をご紹介しています。グループ全体で41万人のITエンジニア・ITコンサルタントが登録し、26年間にわたり蓄積したマッチングデータをもとにご提案します。
ご要件をいただいてから最短即日で候補者をご提案します。ご要件の内容により前後します。ご相談は無料です。
法人向けサービスを見る