クラウド・インフラ

GPUの陰で、CPUが足りなくなっている。強化学習とエージェントが変えた調達の前提

イーランサー・ジャパン株式会社

GPUの調達難は3年前から語られてきました。その陰で、いまCPUが足りなくなっています。原因は強化学習とエージェントです。コードの実行、出力の検証、ツールの呼び出し、データの前後処理——どれもGPUではなくCPUが担う仕事で、学習と推論の両方で量が跳ね上がりました。IntelはPC向けのウェハをサーバー向けに振り替え、Xeonを値上げしています。この記事では、何が起きているのか、各社の製品がいまどこにいるのか、自社の調達と容量計画で何が変わるのかを整理します。

何が起きているか

半導体・データセンターを専門に分析するSemiAnalysisは、2026年をデータセンターにおけるCPUの役割の転換点と位置づけています。およそ3年にわたってGPUとネットワーキングが支出の中心だった状況が、変わりつつあるという見立てです。

つまり、CPUが「ついでに買うもの」から制約条件に変わったということです。

なぜRLとエージェントがCPUを食うのか

強化学習では、モデルの出力をそのまま評価できません。コードを実際に走らせ、テストを通し、結果を検証する工程が必要です。エージェントも同じで、ツールを呼び、返ってきたものを整形し、次の手を決める。この「周辺の仕事」はすべてCPU側にあります。

規模感として分かりやすいのがMicrosoftのFairwaterです。295MWのGPUクラスタに対し、CPUとストレージの建屋が48MW。おおよそ1対6の比率です。SemiAnalysisは、Rubinのような次世代GPUではこの比率がさらにCPU寄りになる可能性を指摘しています。

GPUの台数だけを見て容量を計画すると、CPU側で詰まる——というのが2026年に起きている現象です。

x86の現在地:IntelとAMD

まずIntel。2026年に出てくる2系統は、どちらも事前の期待からは下振れしています。

対するAMDのVeniceは、TSMC N2のCCDを8個束ねてZen 6cを最大256コア。メモリは16チャネル。Turin最上位比で電力あたり性能1.7倍を謳っています。Zen 6の96コア版はAIのヘッドノード向けで、8チャネルのSP8プラットフォームがSienaを継ぎます。

Clearwater Forestの遅延とDiamond RapidsのSMT廃止を踏まえると、2026〜2028年の世代ではAMDが優位に立つというのがSemiAnalysisの見方です。調達側から見れば、x86で複数ベンダーを維持する理由が薄れる局面でもあります。

ARM側:自社設計が揃った

ARM系は、ハイパースケーラの自社設計がひととおり出揃いました。

ここで調達上の制約が1つあります。ハイパースケーラのARMチップは、原則として自社クラウド経由でしか使えません。オンプレミスでARMを選ぼうとすると選択肢は一気に狭まり、ARMのPhoenixとAmpereがほぼ唯一の出口になります。

そのAmpereは2025年にSoftBankが65億ドルで買収しました。一方でOracleのAmpere購入額は、FY2023の4,800万ドルから2024年に300万ドル、2025年に370万ドルまで落ちています。

調達と容量計画で何が変わるか

実務として変わる点は4つです。

  1. CPUの手配をGPUと同じタイミングで始める。供給の逼迫と値上げが見えている以上、後から足す前提の計画は崩れる
  2. 評価指標をソケットあたり・ワットあたりの性能に置き換える。CPUとGPUは同じ電力予算を取り合うため、コア数の絶対値では判断できない
  3. オンプレでARMを検討するなら、選択肢が限られることを前提に置く。ハイパースケーラのARMは自社クラウドの中でしか使えない
  4. x86のベンダー選定を見直す。Intelの遅延が続くなら、2026〜2028年の調達はAMD寄りに倒れる

もう1つ、見落とされやすい論点があります。Cascade Lake世代のサーバーを新しいCPUで置き換えると、ソケット数を10分の1以下に統合できる可能性があります。消費電力は5分の1を下回る水準です。CPUが足りないという話と、古い世代を畳めば枠が空くという話は、同時に成り立ちます。

なぜ日本でまだ語られていないか

この分析の一次情報はSemiAnalysisのニュースレターです。各社の製品発表そのものは日本語でも流れますが、「RLとエージェントがCPU需要を押し上げている」という因果の整理と、世代ごとの性能見通しは、英語の有料ニュースレターに閉じています。ロードマップの2028年までの部分とCPUの原価分析は有料購読者限定で、本記事は公開されている範囲に基づいています。

もう1つの理由は、日本のデータセンター議論が電力と用地に寄っていることです。GW単位の話は報じられても、ラックの中でCPUとGPUの比率が変わっているという粒度の話までは降りてきていません。

出典

本記事は2026年10月22日時点で公開されている範囲の情報に基づいています。各社の性能値にはベンダー自身の主張が含まれ、第三者による検証を経ていないものがあります。また、SemiAnalysisの記事は一部が有料購読者限定で、2028年までのロードマップと原価分析はこちらでは確認できていません。

CONSULTATION

案件をお探しの方へ

イーランサーでは、専任担当がご経歴と希望条件を整理したうえで案件をご提案し、条件面の調整もお手伝いしています。すぐに稼働できる状態でなくても、情報収集としてご相談いただけます。

ご登録いただいた情報が企業に公開されることはありません。氏名・連絡先を伏せたスキルシートを使用します。登録から案件のご紹介、契約手続きまで費用は一切かかりません。

案件を見る
案件をお探しの方 人材をお探しの方