基礎知識

データサイエンティストの仕事とは。業務内容・必要なスキル・キャリア

イーランサー・ジャパン株式会社

データサイエンティストという職種は、名称のわりに業務内容が知られていません。この記事では、実際に何をする仕事なのか、何が求められるのかを整理します。

何をする仕事か

データサイエンティストは、データから意思決定に使える示唆を導く仕事です。

分析するだけではありません。何を問うべきかを決め、必要なデータを集め、分析し、結果を意思決定者に伝えるまでが範囲になります。

似た職種と区別しておきます。

企業によって呼称と範囲は異なります。求人票を見るときは、名称ではなく業務内容を確認する必要があります。

必要な3つの力

この職種には、性質の異なる3つの能力が求められます。

統計・数学の知識。データから何が言えて、何が言えないかを判断する土台です。相関と因果の区別、標本の偏り、有意性の解釈。ここが弱いと、誤った結論を出します。

技術力。Python、SQL、機械学習のライブラリ。データを扱い、分析を実行する手段です。

業務理解と伝える力。分析結果を、意思決定者が使える形に翻訳する力。実務ではこれが最も差になります。

3つすべてが高い人は稀です。どれかを軸に、残りを一定水準まで持つのが現実的な形になります。

実際の業務の流れ

案件がどう進むかを示します。

①課題の定義。「解約を減らしたい」といった要望を、分析可能な問いに変換します。何を予測するのか、何と比較するのか。

②データの確認。必要なデータがあるか、質は十分か。この段階で計画が変わることが多くあります。

③前処理。欠損、外れ値、表記の揺れを扱います。実務ではこの工程が全体の大半を占めるとよく言われます。

④分析・モデル構築。集計、可視化、必要なら機械学習。

⑤伝達。結果を意思決定者に説明し、行動につなげます。ここで終わらせず、実際に使われるまで見届けられるかが評価を分けます。

誤解されやすい点

この職種について、実態と異なる印象が広がっています。

高度な機械学習を使う仕事だという誤解。実際には、集計と可視化で解決する課題が大半です。複雑な手法が必要な場面は限られます。

データが揃っている前提という誤解。多くの現場で、データは分散し、汚れています。整備が仕事の中心になることも珍しくありません。

分析すれば答えが出るという誤解。データから言えることには限界があります。「このデータでは判断できない」と言えることも、専門性の一部です。

結果が採用される前提という誤解。分析結果が意思決定に反映されないことは頻繁にあります。伝え方と関係づくりが実務では重要になります。

この職種に入るには

未経験から目指す場合の道筋を示します。

統計の基礎から。手法を暗記するより、何が言えるかの判断を学ぶことが重要です。

SQLとPython。この2つが実務の道具になります。SQLは比較的短期間で習得できます。

実際のデータで練習する。整形済みの教材データと実務のデータは別物です。汚れたデータを扱った経験があるかどうかが問われます。

業務知識を持つ人は有利です。営業、マーケティング、製造。その領域を知っている人が分析を学ぶほうが、逆より速く成果を出せます。

いきなりこの職種を目指すより、現職でデータを扱う仕事から入るほうが現実的な場合が多くあります。

生成AIの影響

この職種は、生成AIの普及で影響を受けています。

コードを書く作業は速くなりました。分析の実装、可視化、前処理。定型的な部分は自動化が進んでいます。

一方で、価値が上がった部分もあります。何を問うべきかを決める工程、結果が妥当かを判断する工程。AIは問いに答えますが、問いを立てません。

また、出力の検証にはその分野の知識が要ります。統計的に誤った処理をAIが提案した場合、それを見抜けるかどうかが問われます。

結果として、技術の実行より判断の比重が上がっていると考えられます。

キャリアと単価

この領域からの進み方を整理します。

専門を深める。特定の手法や領域(需要予測、異常検知、自然言語処理など)で専門性を高める。

基盤へ広げる。データエンジニアリング。分析の前段階を自分で整えられるようになる。

事業側へ。データを使って事業判断を行う立場。分析専門から、意思決定に関わる役割へ。

単価は月額70〜120万円の範囲が中心です。機械学習を扱う職種は平均単価が高い傾向が報じられていますが、実装だけでなく課題設定から関われるかで大きく変わります。

この数字は民間各社の集計で、公的統計ではありません。

結果をどう伝えるか

分析結果が採用されるかどうかは、伝え方で決まります。

結論から述べる。手法や過程ではなく、何が言えるかを先に示します。意思決定者が知りたいのはそこです。

行動につながる形にする。「相関がある」ではなく「この施策を優先すべき」まで踏み込みます。

不確実性も伝える。どこまで確かで、どこから推測か。断定しすぎると、外れたときに信頼を失います。

専門用語を避ける。統計的な用語は、そのまま使っても伝わりません。

技術力の高い人ほど、この工程を軽視しがちです。しかし、使われない分析は価値を生みません。

分析における注意点

扱いを誤ると問題になる領域があります。

相関と因果の混同。2つの数値が連動していても、一方が他方の原因とは限りません。第三の要因が両方に影響している場合があります。

選択の偏り。回答した人だけのデータで全体を語ると、誤った結論になります。

差別につながる予測。過去のデータに偏りがあれば、それを学習したモデルも偏ります。採用や与信では、法的な問題にもなります。

個人情報の扱い。分析に使えるデータの範囲は、取得時の同意に依存します。

「データがそう言っている」は、免罪符になりません。何をどう分析したかの責任は、分析した側にあります。

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