Salesforceコンサルタントの仕事内容とキャリアパス。製品別の役割と、認定資格の積み上げ方
Salesforceは製品の数が多く、「Salesforceができます」だけでは案件の要件と噛み合わないことがあります。Sales Cloudの導入とMarketing Cloudの設計では、求められる知識も関わる部署も違うためです。この記事では、製品ごとの担当領域、案件でのポジション、認定資格の積み上げ方、そしてキャリアの広げ方を整理します。
Salesforceコンサルタントとは
Salesforceコンサルタントは、CRM(顧客関係管理)プラットフォームであるSalesforceを導入・定着させる専門職です。営業、カスタマーサポート、マーケティングといった顧客接点の業務をどう設計し、システム上でどう表現するかを決め、設定と実装、稼働後の定着支援までを担います。
SAPが基幹業務を対象とするのに対し、Salesforceは顧客接点の業務を対象とするのが大きな違いです。関わる相手も、経理や生産管理ではなく営業部門やマーケティング部門になります。
技術的にはノーコード・ローコードで実現できる範囲が広く、標準機能の組み合わせで要件を満たすことが基本です。「どこまで標準機能で実現し、どこからApexやLWCによるカスタム開発に踏み込むか」の線引きが、設計の腕の見せどころになります。カスタム開発に寄せすぎると、バージョンアップ時の負担が増えるためです。
製品別に見る担当領域
Salesforceは製品(クラウド)ごとに対象業務が分かれています。案件募集では、ほぼ必ず製品名で経験を問われます。
| 製品 | 担当する業務領域 |
|---|---|
| Sales Cloud | 営業支援。商談管理、案件パイプライン、売上予測 |
| Service Cloud | カスタマーサポート。問い合わせ管理、コンタクトセンター運営 |
| Marketing Cloud | マーケティング。マルチチャネルのキャンペーン設計と配信 |
| Account Engagement | BtoBマーケティングオートメーション。リード育成とスコアリング |
| Experience Cloud | 顧客・パートナー向けポータルサイトの構築 |
| Field Service | 訪問・保守業務の管理。作業員の割り当てと現場対応 |
| CRM Analytics | 分析基盤。ダッシュボード、予測分析 |
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案件数が多いのはSales CloudとService Cloudです。この2つは対象業務が隣接しており、両方を扱える人材は案件の選択肢が明確に広がります。 Marketing CloudとAccount Engagementはマーケティング領域の知識が必要で、別系統のスキルとして扱われることが多い領域です。
案件でのポジションは4つに分かれる
- 導入コンサルタント/要件定義から設計、設定、テスト、定着支援までを主導する。業務側と直接議論する立場
- アドミニストレーター/稼働後の運用を担う。ユーザー管理、権限設計、項目追加、レポート作成
- 開発者/Apex、Lightning Web Components(LWC)、Visualforceを用いて、標準機能で満たせない要件を実装する
- PM・PMO/複数製品と関係部署を横断し、スケジュールと品質を管理する
フリーランス案件として多いのは導入コンサルタントと開発者です。アドミニストレーター業務は社内で内製化されることが多く、外部人材としては導入や改修のフェーズで関わるケースが中心になります。
認定資格の積み上げ方
Salesforceの認定資格は階層構造になっており、上位資格には前提となる資格が定められています。順序を踏まえて取得するのが効率的です。
- Platform アドミニストレーター/出発点にあたる資格。Sales Cloud コンサルタント、Service Cloud コンサルタントの前提資格になります
- Sales Cloud コンサルタント/Service Cloud コンサルタント/それぞれの領域で設計・実装ができることを証明する資格
- Field Service コンサルタント/アドミニストレーターとService Cloud コンサルタントの両方が前提になります
試験の形式の一例として、Service Cloud コンサルタント試験は105分で60問、正答率67%で合格とされています。
注意しておきたいのが、資格の名称と試験範囲が変更されることがある点です。2026年7月24日より認定資格名の変更があり、Service Cloud コンサルタントは「Salesforce 認定 Agentforce Service コンサルタント」となりました。また2026年4月24日には、Platform アドミニストレーターの試験範囲が変更されています。受験前には必ず最新の受験ガイドを確認してください。
この名称変更が示すとおり、SalesforceはAIエージェント基盤である「Agentforce」を製品戦略の中心に据えつつあります。認定資格にも「Agentforce スペシャリスト」が設けられており、今後の案件要件にAI関連の知識が組み込まれていく流れは意識しておく価値があります。
案件で求められるスキルと経験
- 特定製品での導入プロジェクト経験(要件定義または設計以降の上流工程)
- 標準機能とカスタム開発の線引きを判断できること
- Apex、LWCによる開発経験(開発ポジションの場合)
- データ移行の設計と実行
- 他システムとの連携(API、外部ETLツールの利用)
- 営業・マーケティング・サポート業務そのものへの理解
- ユーザー部門と合意形成を進めるコミュニケーション
Salesforce案件では、設定作業そのものより「業務をどう整理したか」が評価されます。 標準機能で実現できる範囲が広いぶん、要件をそのまま作るのではなく、業務側と対話しながら落としどころを見つけられる人材が求められます。
単価の水準と、上がりやすい条件
イーランサーで取り扱っているITエンジニア・ITコンサルタント向け案件の単価帯は、月額50万円から150万円です。単価はスキル・経験・稼働条件によって変動します。
そのなかで、実際に取り扱ったSalesforce案件の一例として、Sales Cloudを軸とした導入・定着化コンサルティング(業務要件のヒアリング、オブジェクト設計、自動化実装、社内定着に向けた運用設計まで一貫して支援)で月額90万円という条件がありました。掲載内容は実績の一例で、単価はスキル・経験に応じて決定します。
単価が上がりやすいのは、次のような条件が重なるときです。
- 複数製品を横断して設計できる
- 要件定義や構想策定など、上流の工程を担える
- 業務知識があり、営業部門やマーケティング部門と直接議論できる
- データ移行や他システム連携など、難易度の高い領域を任せられる
キャリアパスの描き方
専門を深める方向では、担当製品での上流経験を積み重ね、構想策定から入れるポジションを目指します。CRM全体の設計方針を提示できるようになると、関わる工程が変わってきます。
横に広げる方向では、隣接製品の経験を足します。Sales CloudからService Cloud、あるいはAccount Engagementへと広げる組み合わせは、業務上のつながりが深く習得しやすい領域です。
技術を広げる方向もあります。Salesforceのデータを社内のデータ基盤と連携させる案件は増えており、DWHやETL、BIの知識を併せ持つ人材は、CRM単体では完結しない領域で求められます。
いずれの方向でも、Salesforceは製品のアップデートが年3回のペースで続くため、知識の更新が前提になる点は共通しています。裏を返せば、継続的に学び続けられる人にとっては優位を保ちやすい領域です。
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