クラウドエンジニアの案件傾向。AWS・Azure・Google Cloudの違いと、求められるスキル
クラウド案件は「AWSができます」だけでは通りにくくなっています。3大クラウドはそれぞれ得意分野と入り込んでいる企業層が異なり、案件で求められる動き方も変わるためです。この記事では、市場の現在地を数字で確認したうえで、AWS・Azure・Google Cloudそれぞれの特徴、案件で評価されるスキル、キャリアの広げ方を整理します。
市場の現在地を数字で見る
調査会社Synergy Research Groupによると、2026年第2四半期のクラウドインフラ市場の規模は1,430億ドル、前年同期比43%成長で、これまでで最高の成長率を記録しています。3年前と比べて市場規模は2倍以上になりました。
上位3社のシェアは次のとおりです。
| プロバイダ | シェア(2026年Q2) | 直前四半期からの動き |
|---|---|---|
| AWS | 28% | 変わらず |
| Microsoft Azure | 20% | 1ポイント減 |
| Google Cloud | 15% | 1ポイント増 |
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注目すべきは、市場全体が43%も伸びているなかで上位3社がシェアを大きく落としていない点です。パイそのものが急拡大しており、3社ともに事業規模を伸ばしている状況にあります。
この成長を牽引しているのが生成AIの需要です。AIモデルの学習と推論には大量の計算資源が必要で、各社がGPU・TPUを備えた基盤や機械学習プラットフォームを整備し、需要を取り込んでいます。クラウド案件が増えている背景には、AI活用の広がりがあると考えてよい状況です。
3大クラウドの立ち位置と得意分野
シェアの数字だけでは、案件選びの判断はできません。それぞれ入り込んでいる企業層が違うためです。
AWSは最も長い歴史を持ち、サービスの種類と導入事例の蓄積で優位に立っています。スタートアップから大企業まで層が厚く、案件数も最も多い領域です。学習リソースや技術情報も豊富で、最初に触れるクラウドとして選ばれやすい傾向があります。
Microsoft Azureは、既存のMicrosoft製品との親和性が強みです。Active Directory、Microsoft 365、Windows Serverをすでに使っている企業にとって、移行の連続性が確保しやすくなります。結果として、大企業の情報システム部門が関わる案件で採用されることが多いのが特徴です。ERPをはじめとする基幹系のクラウド移行でも選択肢に挙がります。
Google Cloudは、データ分析と機械学習の領域で評価されています。BigQueryを中心としたデータ基盤の構築や、AI・機械学習を前提とした案件で採用されるケースが目立ちます。シェアは3番手ですが、直近の四半期では1ポイント伸ばしており、伸び率では存在感を示しています。
クラウドエンジニアの役割は3つに分かれる
「クラウドエンジニア」という呼び方は幅が広く、案件によって求められる動きが違います。大きくは次の3つに整理できます。
- 設計・構築/要件をもとにネットワーク、コンピューティング、ストレージ、セキュリティの構成を設計し、環境を立ち上げる。IaC(Infrastructure as Code)による自動化が前提になりつつある
- 移行(マイグレーション)/オンプレミス環境で稼働しているシステムをクラウドへ移す。現行構成の調査、移行方式の選定、移行後の検証まで担う
- 運用・最適化/稼働後の監視、障害対応、コスト最適化、セキュリティ強化。継続的に関わる案件が多い
単価が高くなりやすいのは、移行方式の選定や構成の意思決定に関わるポジションです。手を動かすだけでなく、「なぜこの構成にしたのか」を説明できるかどうかが評価の分かれ目になります。
案件で評価されるスキル
募集要件としてよく挙がるのは、次のような項目です。
- いずれかのクラウドでの設計・構築の実務経験
- IaC(Terraform、CloudFormationなど)による構成管理
- コンテナ技術(Docker、Kubernetes)の理解と運用経験
- CI/CDパイプラインの構築
- ネットワーク、セキュリティ設計の基礎
- オンプレミスからの移行プロジェクト経験
- コスト最適化の実績
資格については、AWS認定、Azure認定、Google Cloud認定のいずれも、案件応募時に評価されることがあります。ただし資格そのものより、どの規模の環境でどこまで担ったかという実務の記述のほうが重視されます。
マルチクラウドという現実
企業側の動きとして、単一クラウドへの依存を避け、複数のクラウドを使い分けるマルチクラウド/ハイブリッド構成が広がっています。 業務システムはAzure、データ分析はGoogle Cloud、Webサービスの基盤はAWS、といった構成は珍しくありません。
この流れは、エンジニアにとっては要求水準が上がる一方で、案件の選択肢が広がることも意味します。2つ目のクラウドを扱えるようになると、対応できる案件の幅がはっきりと変わります。 概念自体は共通する部分が多いため、1つを深く理解していれば2つ目の習得は比較的スムーズです。
キャリアの広げ方
クラウド領域でのキャリアは、いくつかの方向に伸ばせます。
専門を深める方向では、特定クラウドでのアーキテクチャ設計を担い、構想段階から入れるポジションを目指します。移行方式の選定や、コストと可用性のトレードオフを提示できるようになると、関わる工程が変わってきます。
領域を広げる方向では、隣接する技術を足していきます。データ基盤・DWH・BIの知識を加えれば分析基盤の案件へ、AI・機械学習の理解を加えればMLOpsの領域へつながります。生成AIの需要が市場を牽引している以上、この方向は当面伸びしろがあります。
業務側へ広げる方向もあります。ERPをはじめとする基幹システムのクラウド移行では、業務要件を理解したうえでインフラを設計できる人材が不足しています。インフラと業務の両方が分かる立場は、代わりが効きにくく、単価にも反映されやすい領域です。
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