Webエンジニアのフロントエンドとバックエンドとは?それぞれの役割や技術の違いを解説
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新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、リモートワークやオンラインショッピング、オンライン教育などが急速に普及しました。また、独立行政法人情報処理推進機構の「DX白書2023」によると、IT人材が依然として不足しています。これらの影響で、WebサイトやWebアプリケーション開発の需要が増加。
本記事では、Webエンジニアの「フロントエンド」と「バックエンド」の概要やそれぞれの技術について紹介します。
フロントエンドとバックエンドの違い
フロントエンドは、Webサイトなどで表示されているボタンやメニュー、テキストなどに対して、ユーザーの操作に応じて画面上で「ふるまい」を実現するプログラムを開発。例えば、「メニューをクリックするとドロップダウンメニューが表示される」や「注文ボタンをクリックすると確認ダイアログが出る」など。これらの動作は、ブラウザ上で動作するWebアプリケーションによって実現され、JavaScriptが使用されています。
また、バックエンドからの通信によって得られたデータを基に、その結果をユーザーに表示するプログラムも開発します。バックエンドは、Webサイトなどからのリクエストを受けて、データベースからデータを取得・更新。その結果を加工して、フロントエンドに返すプログラムを開発します。
また、Webアプリケーションをサーバレス化するために、インフラ基盤をクラウド上に構築。例えば、Webアプリケーションをコンテナ化し、AWS Lambdaなどで動作させます。
サーバレスにすることで、使った分だけの利用料金しか発生しないためコスト削減になります。
フロントエンドとバックエンドの連携
Web開発を行う場合、例えばユーザーがWebサイトからユーザー情報の登録などを保存する際、そのデータはフロントエンドからバックエンドに流れて最終的にデータベースへ保存されるという流れになります。 次に、どのようにやり取りがされているかを説明します。
フロントエンドとバックエンドの間では、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使ってデータのやり取りが行われます。一方、バックエンドとデータベースの間では、SQLを用いてデータの操作が行われます。
フロントエンドとバックエンドを分ける理由
スマートフォンやブラウザが常に新しくなっており、デザインやユーザーインターフェースの流行りを追いかけていく必要があります。また、新しいデバイスにも柔軟に対応することが重要。これらの変化に的確に対応できるよう、常に最新の技術動向を把握して、ユーザーのニーズに合わせた製品づくりを心がける必要があります。
一方で、バックエンドではデータの巨大化やインターネットの高速化に伴い、柔軟でスケーラブルな設計が不可欠です。さらに、個人情報や重要なデータを狙うサイバー攻撃も増えているため、しっかりとしたセキュリティ対策も求められます。これらの異なるニーズに対応するために、フロントエンドとバックエンドを分けて、それぞれの得意分野に注力する必要があります。
フレームワークとライブラリ
フレームワーク
フレームワークとは、開発における「枠組み」を提供する仕組みのことです。Web開発に欠かせない共通の部品(機能)が組み込まれており、これらを活用することで効率的な開発が可能になります。フレームワークを利用しない場合、プログラムの書き方が統一されないことでメンテナンス性が低下。ゼロから開発を行う必要があることから、開発プロセスに時間と労力がかかります。
ライブラリ
ライブラリとは、複数の機能をまとめたプログラムの集合体であり、他のプログラムから呼び出して利用。ライブラリ単体では動作せず、他のプログラムに機能を提供する役割です。開発において、似たような機能を毎回ゼロから作成するのは非効率的です。そのため、よく使われる機能はライブラリを利用することで、開発効率を向上させることができます。
フロントエンドの技術
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フロントエンドの技術には、主にHTMLやCSS、JavaScript、SPAの知識が必要になります。
HTML/CSS
HTML(Hyper Text Markup Language)はマークアップ言語であり、タグを使用してWebサイトの構造を定義するものです。これにより、テキストや画像、ハイパーリンクなどの要素を配置できます。一方、CSS (Cascading Style Sheets) はスタイルシート言語であり、HTML要素に対するスタイルや装飾を効率的に行うことができます。フォントのサイズや色、背景色、レイアウトなどを指定することが可能。HTMLとCSSの両方を組み合わせることで、魅力的なWebサイトを作成可能です。
JavaScript
JavaScriptは、ほぼ全てのブラウザ上で動作する言語であり、フロントエンドにおいて必須の言語です。さらに、バックエンドでもJavaScriptのライブラリであるNode.jsを活用することでサーバサイドの開発が行えます。JavaScriptは、Web開発において欠かせない言語であり、フロントエンドやバックエンドで活用できるため非常に重要な言語。
SPA(Single Page Application)
SPAとは、初回に単一のページを読み込んだ後、画面をリロードせずにサーバと通信を行う仕組みです。これにより、ユーザーインターフェースは動的に変更され、画面表示の速度や高度なユーザーエクスペリエンス(UX)が提供されます。SPA方式で主流となっているフレームワークは、ReactやVue.js、Angularなどがあります。
フレームワーク
フロントエンド開発で使われるフレームワークには、次のようなものが挙げられます。
React
Facebook(Meta)が2013年に公開したJavaScriptのライブラリで、ユーザーインターフェースの構築に使用されます。大規模なWebサービス開発に適しており、特徴としては独自のアプローチを採用することで、非常に高速で効率的な開発が可能。
公式サイトは、こちら<https://ja.react.dev/>です。
Vue.js
ユーザーインターフェースの構築で使用されているJavaScriptのフレームワークです。中小規模のWebアプリケーション開発に適しており、特徴としては軽量でパフォーマンスに優れているなどがあります。
公式サイトは、こちら<https://ja.vuejs.org/>です。
Next.js
Reactベースのフレームワークで、Webアプリケーション開発に特化しており、大規模なWebサービス開発に適しています。特徴として、ページの表示速度が速く、SEO対策に強いことが挙げられます。
公式サイトは、こちら<https://nextjs.org/>です。
バックエンドの技術
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バックエンドの技術には、データベースやAPI、セキュリティなどの幅広い知識が必要になります。
データベース
RDB(リレーショナルデータベース)やNoSQLを扱います。
RDBは、データを表形式で構造化して管理するデータベースです。主にMySQLやPostgreSQLなどがあります。データの一貫性と整合性を保つ特徴があり、業務システムやWebシステムなどで使われています。一方、NoSQLはRDB以外のデータベースの総称です。キー・バリュー型(例:Redis)、ドキュメント型(例:MongoDB)など、さまざまな種類があります。特徴としては、データの拡張性やスケーラビリティに優れており、半構造化データや非構造化データにも対応可能です。リアルタイム性が必要とされるケースでよく活用されています。
API
フロントエンドとバックエンドの連携で、APIが使われます。バックエンドでWebを用いたAPIを作成して、それをフロントエンドから呼び出します。よく用いられるのは「REST API」で、HTTPプロトコルのメソッド(GET、POST、PUT、PATCH、DELETE)でデータを送受信。送受信するデータの形式は、JSON形式が一般的です。
セキュリティ
SQLインジェクションとは、攻撃者がWebアプリケーションに対して悪意のあるSQL文を挿入することで、データベース内のデータを不正にアクセスする手法。SQLインジェクションの攻撃によって企業の機密情報や顧客情報などが漏えいします。対策としてプレースホルダーを用いて、悪意のあるユーザーが入力した文字列は、SQL文として認識されず安全に処理されます。
フレームワーク
バックエンド開発で使われるフレームワークには、次のようなものが挙げられます。
Django
Pythonで書かれたWebアプリケーション開発フレームワークです。特徴として、キャッシュ機能が備わっており、高速な処理が求められるサービスに適しています。また、サイバー攻撃(SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなど)から守るためのセキュリティ対策も施されています。
公式サイトは、こちら<https://www.djangoproject.com/>です。
Ruby on Rails
Rubyで書かれたWebアプリケーション開発フレームワークです。特徴として、MVCアーキテクチャに従って設計されており、コードの可読性や再利用性が高いため迅速に開発することが可能。また、Rubyコミュニティは活発で情報収集がしやすいため、多くの開発者に人気があります。
公式サイトは、こちら<https://rubyonrails.org/>です。
まとめ
本記事では、Web開発におけるフロントエンドとバックエンドの役割や技術について解説してきました。IT人材不足や新型コロナウイルスの影響によりWeb開発の需要が高まっており、フロントエンドやバックエンドの技術はますます重要になっています。
これからWebエンジニアのキャリアを目指される方やWebエンジニアに興味を持たれている方は、本記事で紹介しました技術やフレームワークを、ぜひ学び始めてみてはいかがでしょうか。また、Webエンジニアとしての一歩を踏み出す際の参考になれば幸いです。イーランサーではフリーランスエンジニアを手厚くサポートさせて頂きます。是非お気軽にエントリー相談下さいませ。
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